第1章 我が国の経済社会の現状
GDP(国内総生産)
○GDP
「GDP(国内総生産)」(Gross DoMestic Product)とは、国内で一定期間内に生産されたモノやサービスの付加価値の合計額を表す指標である。日本国内の景気を測る指標として重視され、内閣府により四半期ごとに発表されている。
GDPは、市場で取引されたものを対象としているため、家事労働やボランティアなどは含まれない。また、「国内」のため、日本企業が海外視点等で生産したモノやサービスの付加価値は含まない。
○名目GDPと実質GDP
「名目GDP」とは、その時の市場価格に基づいて推計されたGDPである。従って、名目GDPは物価の変動を反映した指標である。
「実質GDP」とは、名目GDPから物価変動の影響を取り除いたものである。
国内の経済活動の規模や動向を見る場合には名目GDPを参照することが多いが、名目GDPはインフレ・デフレによる物価変動の影響を受けるため、経済成長率を見るときは実質GDPを参照することが多い。
内閣府は、名目GDPと実質GDPの両方を発表している(例えば、2016年度の名目GDPは537.9兆円、実質GDPは523.5兆円)。
政府は、名目GDPを600兆円に引き上げるという目標を掲げ、次の「3つの課題」をあげている(「日本再興戦略2016」)。
① 潜在需要を掘り起こし、600兆円に結びつく新たな有望成長市場の創出・拡大(「官民戦略プロジェクト10」)
② 人口減少社会、人手不足を克服するための生産性の抜本的向上
③ 新たな産業構造への変化を支える人材強化